親の終活で迷ったら：どんな時に誰に相談？専門家の役割と選び方
親の終活を考える際、様々な手続きや準備が必要となり、どこから手をつければ良いのか、誰に聞けば良いのかと迷うことがあるかもしれません。特に法律や税金、不動産に関わることなど、専門的な知識が必要となる場面も出てきます。
このような時、一人で抱え込まず、それぞれの分野の専門家を頼ることも有効な選択肢です。専門家は、終活に関する手続きや課題解決をサポートしてくれる心強い存在です。しかし、どのような専門家がいるのか、どんな時に誰に相談するのが適切なのか、分かりにくいと感じる方もいらっしゃるでしょう。
この記事では、親の終活で関わる可能性のある主な専門家とその役割、そして、どのような状況で誰に相談すれば良いのかを分かりやすくご説明します。専門家への相談を検討する際の参考にしていただければ幸いです。
終活で関わる可能性のある主な専門家とその役割
終活には、財産、手続き、医療、介護など、多岐にわたる要素が含まれます。それぞれの分野で、専門的な知識や経験を持つ以下のような専門家がサポートを提供しています。
弁護士
法律全般の専門家です。 遺産分割で家族間での話し合いがまとまらない場合や、相続に関するトラブルが発生した場合の解決をサポートします。また、成年後見制度の申立て（特に親族間に争いがあるケース）や、その他、終活に関連する法的な問題について相談に応じます。
司法書士
主に登記や供託、裁判所・検察庁提出書類作成の専門家です。 終活においては、親御さんが所有する不動産の名義変更（相続登記や贈与による登記）の手続きを代行します。また、遺言書の作成支援（特に自筆証書遺言の検認手続きや公正証書遺言の作成サポート）、成年後見制度や任意後見制度の申立て手続き、家族信託に関するサポートも行います。
税理士
税金に関する専門家です。 相続税や贈与税、不動産の売却によって発生する税金など、終活に関連する税金に関する相談や申告手続きを行います。相続財産の評価や節税対策についても専門的なアドバイスを提供します。
行政書士
役所に提出する書類や権利義務、事実証明に関する書類作成の専門家です。 終活においては、遺言書作成のサポート（公正証書遺言の証人となることなど）、相続手続きに必要な書類（戸籍謄本など）の収集代行、財産目録の作成などを支援します。また、親御さんの死後の事務手続きを任せる「死後事務委任契約」や、自身の尊厳死についての意思を示す「尊厳死宣言公正証書」の作成サポートも行います。
ファイナンシャルプランナー（FP）
個人や家族のライフプランニングに基づき、資産運用、保険、年金、税金、不動産など、幅広い金融知識を活かして総合的なアドバイスを行う専門家です。 終活においては、親御さんの現在の資産状況を整理し、将来的な資金計画や相続に向けた準備について、全体的な視点からサポートします。特定の資格ではなく、幅広い知識を持つ専門家の総称です。
社会保険労務士（社労士）
社会保険や労働保険、年金に関する専門家です。 終活の直接的な専門家ではありませんが、親御さんの年金手続きに関する相談や、会社の退職後の手続きなどで関わる可能性が考えられます。
こんな時は誰に相談？具体的なケース別ガイド
親の終活を進める中で、具体的な課題に直面した際、どの専門家に相談するのが適切か、いくつかの例を挙げます。
- 遺産分割について、家族間で話し合いがまとまらない: → 弁護士にご相談ください。法的な観点から、円滑な話し合いや調停、訴訟などをサポートします。
- 親が亡くなり、実家の不動産の名義を自分に変更したい: → 司法書士にご相談ください。相続登記の手続きを代行してくれます。
- 親の財産を受け継ぐ際、相続税がどれくらいかかるか知りたい、節税について相談したい: → 税理士にご相談ください。相続財産の評価や税額の試算、申告手続きをサポートします。
- 親の意思を明確にするため、公正証書遺言の作成を考えている: → 行政書士や司法書士にご相談ください。遺言書の文案作成や公証人とのやり取りをサポートします。
- 親の判断能力に不安があり、将来の財産管理や身上監護を任せたい: → 弁護士、司法書士、行政書士にご相談ください。成年後見制度や任意後見契約について、手続きや内容に関する相談ができます。
- 親が亡くなった後の、役所への届出や公共料金の解約などの手続きを代行してほしい: → 行政書士や弁護士にご相談ください。死後事務委任契約を結ぶことで、これらの手続きを任せることができます。
- 親の財産全体を整理し、老後の生活設計や今後の資産運用について相談したい: → ファイナンシャルプランナーにご相談ください。ライフプランに沿った総合的なアドバイスを提供してくれます。
- 親の年金受給に関する手続きについて詳しく知りたい: → 社会保険労務士や年金事務所にご相談ください。年金制度に関する専門的な情報を提供します。
専門家を選ぶ際のポイント
いざ専門家に相談しようと考えた際、誰に頼めば良いか迷うかもしれません。以下の点を参考に選ぶことをお勧めします。
- 終活や相続に関する経験・実績: 終活分野に詳しい専門家は、特有の事情や最新の法制度に精通している場合があります。
- 相性: 専門家とは長いお付き合いになる可能性もあります。話しやすく、信頼できると感じるかどうかも大切です。まずは初回相談などを利用して、実際に会って話をしてみるのが良いでしょう。
- 費用体系の明確さ: 相談料や依頼した場合の費用について、事前に分かりやすく説明してくれるか確認しましょう。
- 複数の専門家から話を聞く: 重要な内容であれば、複数の専門家から意見を聞き、比較検討することも有効な場合があります。
専門家に相談する前の準備
相談をスムーズに進めるために、事前に準備しておくと良いことがあります。
- 現在の状況や悩み事を整理する: 何に困っているのか、具体的に何を解決したいのかを明確にしておくと、専門家も的確なアドバイスがしやすくなります。
- 関連する書類を用意する: 財産状況が分かるもの（通帳、権利証など）、親族関係が分かるもの（戸籍謄本など）、その他、状況に応じて必要な書類があれば用意します（初回相談では不要な場合もあります）。
- 聞きたいことをリストアップする: 限られた相談時間を有効に使うため、事前に質問事項を整理しておきましょう。
まとめ
親の終活は、ご家族だけで進めるには難しい側面も多くあります。法律、税金、手続きなど、専門的な知識が必要な場面では、それぞれの分野の専門家が頼りになります。弁護士、司法書士、税理士、行政書士、ファイナンシャルプランナーなど、状況に応じて適切な専門家を選ぶことで、終活をスムーズに進め、不安を軽減することができます。
一人で悩まず、まずは情報収集を始め、必要に応じて専門家への相談も検討してみてはいかがでしょうか。多くの専門家が初回無料相談などを実施していますので、まずは気軽に話を聞いてみるのも良い一歩となります。