エンディングノートとは?初めて書く方が知りたい基本と大切なこと
エンディングノートについて、はじめの一歩を踏み出しましょう
終活を始めようとお考えの方、またはご家族の終活をサポートしたいとお考えの方にとって、「エンディングノート」という言葉は耳にする機会があるかもしれません。 でも、「エンディングノートって、具体的に何をどう書けばいいの?」「難しそう…」と感じている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
このページでは、エンディングノートがどのようなものなのか、なぜ書くことが役立つのか、そして、初めての方がどのように書き進めれば良いのかについて、分かりやすくご説明します。
エンディングノートとは何ですか
エンディングノートとは、ご自身の人生の終わりに向けた希望や、ご家族へのメッセージなどを自由に書き記すためのノートです。法的な効力を持つ遺言書とは異なり、形式に決まりはありません。市販のノートを使う方、ご自身で手作りする方、パソコンで作成する方など、様々です。
エンディングノートを書く最大の目的は、ご自身の想いを整理し、残されるご家族が困らないように情報をまとめておくことにあります。ご自身の希望や大切な情報をあらかじめ伝えておくことで、ご家族の負担を減らし、スムーズな手続きや対応につながることが期待できます。
遺言書との違いは何ですか
エンディングノートと混同されやすいものに「遺言書」があります。両者には大きな違いがあります。
- 遺言書:法的な効力を持ちます。相続財産を誰にどれだけ渡すかなど、財産に関する内容について法的な強制力を持たせたい場合に作成します。民法で定められた厳格な形式に従って作成する必要があり、不備があると無効になる場合があります。
- エンディングノート:法的な効力はありません。財産のことだけでなく、医療や介護の希望、葬儀やお墓のこと、デジタル遺産の情報、家族への感謝のメッセージなど、より幅広い内容を自由に書くことができます。形式の決まりがないため、ご自身のペースで気軽に始められます。
エンディングノートは遺言書のように法的な手続きで使うものではありませんが、ご自身の意思や考えを伝え、ご家族が迷ったときの道しるべとなる、大変価値のあるものです。
エンディングノートに何を書けば良いですか
エンディングノートに書く内容に決まりはありませんが、一般的に以下のような項目が含まれることが多いです。初めての方は、これらの項目を参考にしながら、書けるところから始めてみるのがおすすめです。
- 自分自身の情報:氏名、生年月日、本籍地などの基本的な情報。
- 家族や親戚の情報:連絡先、関係性など。緊急連絡先なども含めると良いでしょう。
- 財産に関する情報:預貯金がある銀行名と支店名、不動産の情報、有価証券、保険、年金など。財産の具体的な内容だけでなく、どこに何があるかをまとめておくと、ご家族が全体像を把握しやすくなります。(ただし、具体的な財産の分配など法的な効力を持たせたい場合は遺言書が必要です)
- 医療や介護に関する希望:延命治療を望むか、緩和ケアについてどう考えるか、かかりつけ医や服用している薬の情報、介護が必要になった場合の希望(どこでどのような介護を受けたいかなど)。
- 葬儀やお墓に関する希望:葬儀の形式(家族葬、一般葬など)、参列してほしい人、遺影に使いたい写真、お墓の種類(先祖代々のお墓、永代供養墓、樹木葬、海洋散骨など)や場所の希望。
- デジタル遺産について:パソコンやスマートフォン、インターネットサービスのIDやパスワード、SNSアカウント、ブログ、オンラインバンクなどの情報。
- 家族へのメッセージ:感謝の気持ち、伝えたい想い、お願いしたいことなど、ご家族への素直な気持ちを自由に綴ります。エンディングノートの中でも、最もご自身の気持ちを表現できる大切な項目です。
- その他:ペットを飼っている場合はその世話について、貸金庫の情報、会員になっている団体、大切な人への贈り物など、ご自身が書き残しておきたいと思うこと全般。
全ての項目を一度に書く必要はありません。まずは書きやすい項目から、思いついたときに少しずつ書き加えていくのが良いでしょう。
エンディングノートを書く際のポイント
エンディングノートをスムーズに書き進めるために、いくつかポイントをご紹介します。
- 完璧を目指さない:最初から全てを完璧に書き終えようと思うと、気が重くなってしまうかもしれません。まずは簡単な項目から、分かるところだけを気楽な気持ちで書き始めてみましょう。
- 正直な気持ちを書く:誰かに見せるためのものではなく、ご自身の正直な気持ちや希望を書きましょう。
- 定期的に見直す:時間とともに状況や気持ちは変化します。書いた後も、年に一度など定期的に見直したり、内容を更新したりすることをおすすめします。
- 保管場所を考えておく:せっかく書いても、ご家族が見つけられない場所に保管していては意味がありません。保管場所を決め、信頼できるご家族に伝えておくことが大切です。
- コミュニケーションのきっかけに:エンディングノートを書く過程で、ご自身の気持ちをご家族と話し合うきっかけにすることもできます。
まとめ
エンディングノートは、ご自身の「終活」を考え、整理するための一つの方法です。法的な拘束力はありませんが、ご自身の希望を明確にし、残されるご家族への大切なメッセージを伝えるための有効なツールとなります。
「何から始めれば良いか分からない」と感じていた方も、まずはエンディングノートの存在を知り、どのような内容を書くことができるのかを知ることから始めてみてください。全てを書き終える必要はありません。書ける項目から、ご自身のペースで少しずつ進めていくことが大切です。
エンディングノートを通して、ご自身の人生を振り返り、これからのこと、そして大切なご家族への想いを整理する時間を持つことは、きっと大きな意味を持つはずです。無理なく、ご自身のペースで取り組んでみましょう。