終活に乗り気でない親との向き合い方：話し合いのコツとステップ
親の終活について考え始めたものの、「親が全く乗り気になってくれない」とお悩みの方もいらっしゃるかもしれません。終活はデリケートなテーマであり、親御さんにとって様々な感情が伴うものです。ここでは、終活に消極的な親御さんとの向き合い方や、話し合いを進めるための具体的な方法について解説します。
なぜ親は終活に乗り気にならないのか
親御さんが終活に乗り気にならない背景には、いくつかの理由が考えられます。これらの理由を理解することが、円滑な話し合いの第一歩となります。
- 「まだ早い」「縁起でもない」といった抵抗感: 死や老いに関することに触れたくないという気持ちは自然なものです。まだ元気なのに、なぜそんな話を？と感じる方もいらっしゃいます。
- どうすれば良いか分からない: 終活といっても、何から手をつければ良いのか、どんなことを決めなければならないのか、具体的なイメージが湧かず、漠然とした不安や億劫さを感じている場合があります。
- 子供に迷惑をかけたくないという思い: 心配をかけたくない、自分のことは自分で決めたいという気持ちから、あえて話題を避けていることもあります。
- プライバシーへの配慮: 財産や個人的なことについて話すことに抵抗を感じる方もいます。
- 面倒くさいと感じる: 具体的な準備や手続きが必要になると考え、負担に感じる場合もあります。
これらの理由が一つだけでなく、複合的に絡み合っていることも少なくありません。
話し合いを始める前の心構え
親御さんと終活の話をする際は、以下の心構えが大切です。
- 焦らない: 終活は一度にすべてを終わらせるものではありません。時間をかけて、少しずつでも進めることができれば十分です。
- 親の気持ちに寄り添う: 親御さんのペースや気持ちを尊重し、否定的な態度をとらないことが重要です。
- 聞き役に徹する: まずは親御さんの考えや不安を聞く姿勢を持ちましょう。一方的に終活の必要性を説くのではなく、対話を通じて進める意識が大切です。
- 完璧を目指さない: 全てを完璧に決める必要はありません。現時点で考えられる範囲で整理し、記録することから始めても良いのです。
親が終活に前向きになるための具体的な声かけのコツ
実際に親御さんに声をかける際に役立つ具体的なコツをいくつかご紹介します。
- 日常会話から自然に触れる: テレビや新聞で終活に関する話題が出た際などに、「こういうこともあるみたいだね」と軽いトーンで触れてみることから始められます。
- 「もしも」の安心材料として伝える: 「もしも何かあった時に、お父さん/お母さんの希望を知っておくと、私たちも安心して対応できるから」といったように、残される家族の安心のためという視点で伝えると、受け入れられやすくなることがあります。
- メリットを具体的に伝える: 終活をすることで得られるメリット（例えば、自分らしい最後を迎えられる、家族に不要な心配や負担をかけずに済む、財産を整理して安心して過ごせるなど）を分かりやすく伝えましょう。
- 選択肢を示す: 終活には様々な形があることを伝え、一つの方法に固執しない姿勢を見せます。「絶対にこれをしなければならない」ではなく、「こんな方法もあるけれど、どう思う？」と問いかける形が良いでしょう。例えば、エンディングノートは書く内容が自由であること、財産のことだけでなく思い出やメッセージを記せることなどを伝えると、ハードルが下がるかもしれません。
- 自分の終活について話してみる: もし可能であれば、ご自身の終活について考えていることや、すでに始めていることがあれば、その話をしてみるのも一つの方法です。子が真剣に考えていることを伝えることで、親御さんも関心を持つきっかけになるかもしれません。
- 専門家の活用を検討する: 親御さんが家族には話しにくいと感じている場合や、専門的な知識が必要な場合は、第三者である専門家（弁護士、税理士、司法書士、ファイナンシャルプランナーなど）や地域の相談窓口に相談することも有効です。専門家から客観的なアドバイスを受けることで、親御さんも安心して話を聞けることがあります。
スムーズに進めるためのステップ
親御さんの気持ちに寄り添いながら、終活を少しずつでも進めるためのステップをご紹介します。
- 小さなテーマから始める: 最初から財産や医療・介護など、重いテーマに踏み込む必要はありません。まずは「整理したい物はないか」「昔の写真について聞きたい」など、比較的話しやすい話題から始めてみるのがおすすめです。
- 共感を示す: 親御さんの不安や懸念に対して、「そう感じるのも当然だね」「確かに少し大変に感じるかもしれない」と共感の姿勢を示し、安心感を与えましょう。
- 記録する: 話し合った内容や親御さんの希望を記録しておくことを提案します。エンディングノートの活用を勧めるのも良いでしょう。形として残すことで、親御さんも具体的に考えやすくなります。
- 無理強いしない: 親御さんがどうしても話したくないことや、今は考えたくないというテーマがある場合は、無理強いせずに一度引き下がる勇気も必要です。時間を置いて、改めて別の機会に触れてみるのが良いでしょう。
- 一度に全てを話そうとしない: 終活は長期的なプロジェクトです。一度の話し合いで全てを決定しようとせず、何度かに分けて話し合う計画を立てましょう。
まとめ
親御さんが終活に乗り気でない場合でも、それは特別なことではありません。焦らず、親御さんの気持ちに寄り添いながら、ゆっくりと、対話を通じて進めていくことが何よりも大切です。
まずは小さな一歩から、話しやすいテーマを選んで声かけをしてみてください。ご家族だけで抱え込まず、必要であれば専門家や相談窓口の力を借りることも検討してみましょう。このサイトの情報が、親御さんとの終活に関する話し合いを進めるための一助となれば幸いです。