親の終活、保険はどうする?家族が困らないための見直しと情報共有
親御さんの終活を考える際、多くのご家族が「何から手を付ければ良いのだろうか」と戸惑われることと思います。これまでの人生で築き上げてきた様々なことの整理は多岐にわたりますが、その中でも「保険」に関する整理は、もしもの時にご家族が困らないために非常に重要な要素の一つです。
終活で保険の見直しが必要な理由
私たちは人生の様々なリスクに備えるために保険に加入します。病気やケガ、そして万が一の場合に経済的な不安を軽減するためです。親御さんが加入されている保険も、かつてはご家族のため、ご自身の安心のために契約されたものです。
しかし、時間が経過するにつれて、必要な保障内容は変化します。お子さんが独立したり、住宅ローンを完済したり、あるいは公的な医療保険制度が充実したりすることで、加入当初とは状況が変わっていることが少なくありません。
こうした変化に合わせて保険を見直しておかないと、以下のような状況が起こり得ます。
- 不要な保険に保険料を払い続けている:現在の状況に合わない高額な保障や、すでに目的を終えた保険契約に気づかずに保険料を払い続けている場合があります。
- 必要な情報が家族に伝わっていない:親御さんがどのような保険に加入しているか、保険証券がどこにあるか、連絡先はどこかなどがご家族に伝わっていないと、もしもの時に保険金請求などの手続きがスムーズに行えません。最悪の場合、せっかくの保険金を受け取れないという事態も起こり得ます。
終活の一環として保険を見直すことは、現在の経済的な負担を減らし、そして何よりも、もしもの時にご家族が困らないようにするための大切な準備となります。
どのような保険があるのか知る
一口に保険と言っても、様々な種類があります。終活に関わる主な保険の種類を簡単に知っておくことは、見直しを進める上で役立ちます。
- 生命保険:被保険者が亡くなったときに保険金が支払われる保険です。
- 終身保険:一生涯保障が続きます。解約返戻金がある場合が多いです。
- 定期保険:保険期間が定められています。期間中に亡くなった場合に保険金が支払われますが、満期を迎えると保障はなくなります。一般的に終身保険より保険料は割安です。
- 養老保険:保険期間が定められており、満期時に生きている場合は満期保険金が、期間中に亡くなった場合は死亡保険金が支払われます。貯蓄の側面もあります。
- 医療保険・がん保険:病気やケガで入院・手術をした場合などに給付金が支払われる保険です。治療費の自己負担分を補う目的があります。
- 個人年金保険:将来、年金として一定額を受け取れる保険です。老後の生活資金準備として活用されます。
これらの保険に親御さんが加入されている可能性があります。まずは、どのような種類の保険に入っているのかを確認することから始めます。
終活で見直すべき保険の具体的なポイント
保険の見直しは、難しく考える必要はありません。以下のステップで一つずつ確認を進めてみてください。
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加入している保険をすべて把握する
- 保険証券や契約内容のお知らせなど、加入している保険に関する書類をすべて集めます。
- 保険会社名、保険種類、契約者名、被保険者名、保険期間、保障内容、毎月の保険料、保険金の受取人などを確認します。
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現在の状況と照らし合わせる
- 集めた情報を基に、現在の生活状況や経済状況と照らし合わせて、その保険が今の親御さんにとって本当に必要か、保障内容は適切かを確認します。
- 例えば、お子さんが独立しているのに、お子さん向けの保障が手厚い学資保険などがそのままになっていないかなどを確認します。
- 現在の収入や貯蓄に対して、保険料の負担が大きすぎないかも確認します。
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保険金の受取人を確認する
- 生命保険などで、万が一の場合に誰が保険金を受け取る設定になっているかを確認します。
- 設定した時から時間が経ち、受取人を変更したいと考えている場合もあります。ご家族で話し合い、必要であれば変更手続きを検討します。
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不要な保険の解約や減額を検討する
- 現在の状況に合わない保険や、保険料の負担が大きい保険があれば、解約や保障の減額を検討します。
- ただし、安易な解約は避けるべきです。特に解約返戻金が少ない時期だったり、現在の健康状態では新たな保険に加入するのが難しかったりする場合もあります。保障がなくなることのリスクも十分に理解する必要があります。迷う場合は、必ず専門家(保険代理店やファイナンシャルプランナー)に相談してください。
保険情報を家族と共有する方法
親御さんがどのような保険に加入しているかを、ご家族が把握しておくことは非常に重要です。もしもの時、ご家族は精神的な負担が大きい状況で、様々な手続きを進めなければなりません。保険に関する情報が整理され、どこを見れば良いか分かっていれば、その負担を大きく軽減できます。
情報共有のための具体的な方法をいくつかご紹介します。
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保険契約情報の一覧を作成する
- 保険会社名、商品名、証券番号、契約者、被保険者、保険金受取人、保障内容の概要、保険期間、毎月の保険料、保険会社の連絡先などをリスト形式でまとめておくと非常に分かりやすいです。
- パソコンで作成しても、手書きでノートにまとめても構いません。大切なのは、ご家族が見て理解できる形であることです。
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保険証券などの保管場所を決めておく
- 作成した一覧表と一緒に、保険証券や契約に関わる大切な書類をまとめて一つの場所に保管します。
- その保管場所をご家族に伝えておきます。
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エンディングノートに記載する
- エンディングノートの項目に保険に関する欄があれば、そこに一覧表や保管場所について記載します。エンディングノート自体を保管場所と一緒にまとめておけば、ご家族はそこを見れば必要な情報が得られます。
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定期的に家族と話し合う
- 保険に関する情報は、一度伝えて終わりではなく、定期的にご家族と話し合う機会を持つことが理想的です。契約内容が変わったり、保管場所を変更したりした場合に、最新の情報を共有できます。
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専門家を交えて説明を受ける
- 親御さんの同意があれば、加入している保険会社の担当者やファイナンシャルプランナーに同席してもらい、保険の契約内容やもしもの時の手続きについてご家族と一緒に説明を受けることも有効です。専門家からの説明は、誤解なく理解を深めるのに役立ちます。
まとめ
親御さんの終活における保険の見直しと情報共有は、残されるご家族への大切な配慮です。現在の状況に合わない保険を整理することで無駄な支出を抑え、そして何よりも、もしもの時にご家族が手続きで困らないように、必要な情報を分かりやすい形で伝えておくことが重要です。
保険は専門的な内容も多いため、一人で抱え込まず、必要に応じて保険会社の担当者やファイナンシャルプランナーなどの専門家の助けを借りながら、ご家族で話し合いながら、一歩ずつ進めていくことをお勧めします。この準備が、ご家族の安心につながるはずです。