親の終活を家族で話し合う:大切なことと進め方
終活は、ご自身の人生の終わりについて考える大切な準備です。この準備は、ご本人だけでなく、支えるご家族にとっても非常に重要です。しかし、「家族で終活の話をどう切り出せば良いのか」「何を話し合えば良いのか」と悩む方も多いのではないでしょうか。
この記事では、親御様の終活を家族で話し合うことの大切さと、具体的な進め方について、分かりやすくご説明いたします。
なぜ終活を家族で話し合うことが大切なのでしょうか
終活は、財産のこと、医療や介護のこと、お葬式やお墓のことなど、多岐にわたります。これらの情報は、もしもの時にご家族が判断したり手続きを進めたりするために不可欠です。しかし、ご本人の意思や希望が分からないままだと、ご家族は大きな不安を抱えたり、手続きに困ったりする可能性があります。
- 意思疎通を図るため: 親御様がどのような最期を迎えたいのか、どのような希望を持っているのかを直接聞くことで、ご家族は親御様の意思を尊重した行動ができます。
- ご家族の負担を減らすため: 事前に情報を共有し、話し合っておくことで、もしもの時にご家族が手続きや対応に追われる負担を減らすことができます。どこに何があるか、誰に連絡すれば良いかなどが分かっているだけでも、精神的な余裕が生まれます。
- 誤解やすれ違いを防ぐため: 終活に関することは、時に感情的になったり、家族間で意見が分かれたりすることもあります。元気なうちにじっくり話し合うことで、お互いの気持ちや考えを理解し、不要な誤解やすれ違いを防ぐことができます。
- 家族の絆を深める機会に: 終活の話し合いは、人生や家族について深く考える貴重な機会でもあります。お互いの大切にしているものや価値観を知ることで、家族の絆がより一層深まることもあります。
終活は、残されたご家族のためでもあり、ご自身が安心して人生を締めくくるためにも、家族で共有し、一緒に考えることが大切なのです。
終活の話し合いを始める前の準備
いきなり「終活について話しましょう」と切り出すのは、少し抵抗があるかもしれません。話し合いをスムーズに進めるために、いくつかの準備をしておくと良いでしょう。
- リラックスできる雰囲気を作る: 肩肘張らず、落ち着いて話せる場所と時間を選びましょう。リビングでのお茶の時間や、食事の後など、普段の会話の延長線上で始めるのが理想的です。
- 話題のきっかけを探す: テレビ番組で終活が取り上げられていたり、知人が終活を始めたという話を聞いたりしたときなど、自然な流れで話題に触れてみるのも良い方法です。
- 「負担をかけたくない」という気持ちに寄り添う: 終活に関心がない、あるいは避けている親御様の中には、「子供に心配をかけたくない」「まだ早いと思われたくない」といった気持ちがあるかもしれません。そのような親御様の気持ちに寄り添い、「元気なうちだからこそ、安心して今後のことを考えられるよ」「何かあったときに慌てないように、少しだけ教えてほしいな」といった、親御様を気遣う言葉を添えると、耳を傾けてもらいやすくなります。
- 子の側も準備する: 話を聞くだけでなく、子の側も「親にどうあってほしいか」「親から何を聞いておきたいか」を整理しておくと、話し合いが一方的にならず、建設的に進みやすくなります。
終活の話し合いを進める具体的なステップとポイント
話し合いを始める準備ができたら、以下のステップで進めてみましょう。一度に全てを終わらせようとせず、少しずつ、根気強く続けることが大切です。
ステップ1:まずは「終活」という言葉を使わずに始める
「終活」という言葉に抵抗がある方もいらっしゃいます。まずは、親御様の関心がありそうな身近な話題から入ります。例えば、「最近、テレビでお墓のことがやっていたけど、お父さん(お母さん)はどんなお墓が良いとかあるの?」「そういえば、この家の建てられた時の話を聞かせてよ」など、過去や未来に思いを馳せるような話題から始め、徐々に具体的なことへつなげていきます。
ステップ2:親御様の気持ちを「聞く」ことに徹する
話し合いの初期段階では、親御様の気持ちや考えを丁寧に聞くことに重点を置きます。「こうしてほしい」といった子の希望を押し付けず、「お父さん(お母さん)はどう考えているの?」と問いかけ、親御様の言葉にじっと耳を傾けましょう。相槌を打ったり、共感の言葉を伝えたりしながら、安心して話せる雰囲気を作ります。
ステップ3:具体的な話題に少しずつ触れる
親御様が話し慣れてきたら、少しずつ具体的な終活のテーマに触れてみます。例えば、「エンディングノートって知ってる?」「もしよかったら、書きたいことだけ少し書いてみない?」など、比較的取り組みやすいものから提案してみましょう。財産の話など、デリケートな内容は後回しにするのが賢明です。
ステップ4:家族それぞれの立場からの考えを共有する
親御様の考えを聞くだけでなく、子の側も「私たちはこう考えているよ」「こういうことが分かっていると安心だよ」と、正直な気持ちや希望を伝えます。家族全員で、それぞれの立場で何ができるか、何を望むかを共有することで、終活がより「家族ごと」になります。
ステップ5:一度で決めようとせず、継続的に話し合う
終活は一度話したら終わり、というものではありません。親御様の気持ちも、ご家族の状況も変化していく可能性があります。定期的に話し合いの機会を持ち、確認や見直しを行うことが大切です。すぐに結論が出ないことがあっても焦らず、時間をかけて話し合いを進めましょう。
話し合いの際の注意点
終活の話し合いは、時に難しい側面もあります。以下の点に注意しながら進めましょう。
- 感情的にならない: 親御様の考えと子の希望が異なったり、過去のわだかまりが顔を出したりすることもあるかもしれません。しかし、感情的になると話し合いが進まなくなってしまいます。冷静に、お互いを尊重する姿勢を保つよう努めましょう。
- 否定的な言葉を使わない: 親御様の考えに対して、「それは違うんじゃない?」「なぜそんなことを考えるの?」といった否定的な言葉は避けましょう。まずは親御様の考えを受け止める姿勢が大切です。
- 特定の結論を強要しない: 「こうすべきだ」と一方的に結論を押し付けたり、急かしたりするのは禁物です。親御様が自分で考え、決定できるよう、あくまで情報提供やサポートに徹します。
- プライバシーに配慮する: 財産や個人的な人間関係など、親御様にとって話しにくい内容もあります。無理に聞き出そうとせず、親御様のペースと意思を尊重しましょう。兄弟姉妹がいる場合は、全員が納得できる形で情報共有や話し合いを進める工夫が必要です。
家族での話し合いは終活を円滑に進める鍵
親御様の終活を家族で話し合うことは、ご本人もご家族も安心してこれからの人生を過ごすために、そしてもしもの時に慌てず対応するために、非常に大切です。最初の一歩を踏み出すのは勇気がいるかもしれませんが、完璧を目指さず、少しずつ、お互いを思いやりながら進めていくことが重要です。
もし、家族だけでの話し合いが難しいと感じる場合は、地域包括支援センターや専門家など、第三者の力を借りることも検討してみましょう。当サイトでも、終活に関する様々な情報を提供していますので、ぜひ参考にしてみてください。
ご家族皆さんで協力し合い、親御様の終活をより良いものにしていきましょう。