親の終活:何から手をつける?やることリストの作り方と優先順位
終活、「何から始めればいいの?」と感じていませんか
終活という言葉を耳にして、そろそろ親やご自身のことを考え始めようと思っても、「何から手をつければ良いのだろう」「情報がありすぎて混乱する」と感じる方は少なくありません。財産のこと、物の整理、医療や介護のこと、お葬式やお墓のことなど、考えるべきことがたくさんあるように感じて、かえって不安になってしまうかもしれません。
しかし、終活は一度にすべてを完璧に終わらせる必要はありません。まずは、漠然とした不安を整理し、「やること」を見える化することから始めるのがおすすめです。そのためには、「やることリスト」を作成することが非常に有効です。このリストがあれば、終活の全体像を把握でき、一つずつ着実に進めるための道筋が見えてきます。
この記事では、終活の「やることリスト」をどのように作成し、どう優先順位をつけて進めていけば良いのかを、分かりやすく解説します。
なぜ終活の「やることリスト」を作るのが大切なのか
終活のやることリストを作成することは、終活を円滑に進める上でいくつかの大切なメリットがあります。
- 全体像を把握できる: 終活にはさまざまな側面があります。リストにすることで、自分が何を、どれくらい考えたり行動したりする必要があるのか、全体像を掴むことができます。
- 抜け漏れを防げる: 頭の中で考えているだけでは、つい忘れてしまう項目が出てくる可能性があります。リストにすることで、重要な事柄を見落とすリスクを減らせます。
- 計画的に進められる: リスト化した項目に優先順位をつけることで、「次はこれに取り組もう」という明確な目標ができ、計画的に終活を進めることができます。
- 家族と共有しやすくなる: 作成したリストを家族と共有することで、お互いの考えや状況を理解しやすくなり、協力して終活を進めるための話し合いが進みやすくなります。
終活のやることリスト作成ステップ
では、具体的にどのようにリストを作成していくか、ステップごとに見ていきましょう。
ステップ1:まずは思いつくままに書き出してみる
まずは、難しく考えずに、「終活」と聞いて思いつくこと、心配なこと、やっておきたいことを、箇条書きでどんどん書き出してみましょう。この段階では、順番や重要性は気にせず、思いつくままに全てを出し切ることが大切です。
- 実家の片付け
- 銀行口座の整理
- 保険の見直し
- お墓のこと
- お葬式の希望
- エンディングノートを書く
- デジタル遺品の整理(パソコン、スマホの中身)
- 大切な人への感謝を伝える
- 医療や介護の希望をまとめる
- 連絡先リストを作る
- 財産リストを作る
- 契約しているサービスを把握する(サブスクなど)
- 家のこと(将来どうするか)
- ペットのこと
- 思い出の品を整理する
など、どんな小さなことでも構いません。「こんなことも?」と思うようなことも含めて、幅広く書き出してみましょう。
ステップ2:項目をカテゴリーごとに整理する
書き出した項目が整理できたら、似たような内容をグループ分けしてみましょう。カテゴリーに分けることで、リストが見やすくなり、全体を把握しやすくなります。一般的なカテゴリーとしては、以下のようなものが考えられます。
- 財産・お金: 銀行口座、保険、不動産、有価証券、負債など
- 物: 実家の片付け、衣服、本、写真、収集品、貴重品など
- 医療・介護: 延命治療の希望、かかりつけ医、病歴、介護の希望、施設入居など
- お葬式・お墓・供養: 葬儀の形式、場所、連絡してほしい人、埋葬方法(お墓、散骨、樹木葬)、法要など
- 手続き・契約: 公的な手続き、各種サービス契約、サブスク、インターネット関連など
- 人間関係: 連絡先リスト、友人・知人への連絡、感謝を伝えたい人など
- 情報・希望: エンディングノート、遺言書、大切な書類の保管場所、家族へのメッセージ、自分史など
これらのカテゴリーはあくまで一例です。ご自身の状況に合わせて自由に設定してください。
ステップ3:それぞれの項目を具体的にする
カテゴリー分けができたら、それぞれの項目について、もう少し具体的な行動レベルに落とし込んでみましょう。「実家の片付け」であれば、「リビングの棚から始める」「アルバムを整理する」、「銀行口座の整理」であれば「使っていない口座を確認する」「残高を把握する」といったように、何をするのかを具体的にします。
「何をどうすれば良いのか分からない」と感じる項目については、現時点では漠然としたままでも構いません。リストアップすることで、「この項目についてはもっと情報を集める必要があるな」という気づきにつながります。
ステップ4:優先順位をつけてみる
全ての項目をリストアップし、具体的にしたら、次に「どれから取り組むか」という優先順位をつけてみましょう。優先順位をつける考え方にはいくつかあります。
- 重要度・緊急度: 「いますぐやるべきこと(例:急ぎの手続き)」、「重要だけど急がないこと(例:遺言書作成)」、「重要ではないがすぐにできること(例:連絡先リストの一部作成)」、「重要でもなく急ぎでもないこと(例:昔の趣味の道具整理)」のように分けてみます。
- 取り組みやすさ: あまり負担なく、すぐに始められることから手をつけることで、達成感を得て次へのモチベーションにつなげる方法もあります(例:簡単な書類の整理、写真の選別など)。
- 体調や気力: 体力や気力があるうちにやっておきたいこと(例:大掛かりな実家の片付け、旅行)を優先するという考え方もあります。
- 家族の協力: 家族の協力が必要な項目(例:実家の売却、相続に関する話し合い)については、家族と相談してタイミングを決める必要があります。
全ての項目に優先順位をつけるのが難しければ、「まず今週(今月)はこれをやろう」と、直近で取り組む項目を決めるだけでも良いでしょう。
ステップ5:家族とリストを共有し、話し合う
作成したリストは、可能であれば家族と共有し、話し合う機会を持ちましょう。リストを見ながら話すことで、「こんなことも考えていたんだ」「これはどうなっているの?」といった具体的なやり取りが生まれやすくなります。
家族と協力して終活を進めるためには、お互いの考えや希望を理解し、何ができるかを話し合うことが非常に大切です。リストは、そのための valuableなツールとなります。話し合いの中で、リストに新たな項目が加わったり、優先順位が変わったりすることもあるでしょう。
リストは一度作ったら終わりではない
終活の「やることリスト」は、一度作成したら終わりではありません。人生の状況や気持ちは変化していきますし、終活を進める中で新たな情報や気づきがあるかもしれません。定期的にリストを見直し、必要に応じて項目を追加したり、内容を変更したりすることが大切です。
完璧なリストを目指す必要はありません。まずは一歩踏み出すためのツールとして、気軽に作成してみましょう。リストがあることで、漠然とした不安が具体的なタスクとなり、取り組みやすくなるはずです。
まとめ:リスト作成で終活をスムーズに
終活を「何から始めて良いか分からない」と感じている方は、まず「やることリスト」を作成することから始めてみましょう。思いつく項目を書き出し、カテゴリー分けし、具体的にすることで、終活の全体像が見えてきます。
そして、優先順位をつけ、家族と共有し話し合うことで、一人で抱え込まず、協力して進めることができます。リストはあくまで進めるためのツールですので、完璧を目指さず、ご自身のペースで、できることから取り組むことが大切です。
終活のやることリスト作成を通じて、不安を軽減し、より安心して将来に向けて準備を進めていくための一助となれば幸いです。