親の終活で考える実家の安全対策:安心な暮らしと将来への備え
終活は、ご自身の人生の最期に向けて準備を進めることですが、財産や人間関係、医療・介護の意向など、多岐にわたる内容が含まれます。その中でも、「今、住んでいる家」の安全について考えることも、大切な終活の一つであると言えるでしょう。
親御さんが長年暮らしてきた家は、思い出がたくさん詰まった大切な場所です。そこでこれからも安心して暮らし続けるため、また将来、ご家族がその家について考える際に困らないためにも、実家の安全対策について家族で確認しておくことが推奨されます。
この記事では、終活の一環として考えるべき実家の安全対策について、地震、火事、防犯など、具体的な視点からご紹介します。何から始めれば良いか分からない、といった方のヒントになれば幸いです。
なぜ実家の安全対策が終活になるのか
実家の安全対策が終活の一つと考えられる主な理由は以下の通りです。
- 親御さんの安心・安全な暮らしを守るため: 高齢になるにつれて、災害時や緊急時に素早く対応することが難しくなる可能性があります。日頃からの安全対策は、親御さんが安心して健康に暮らすための基盤となります。
- 将来のリスク軽減のため: 家の老朽化や未対策の部分は、将来、お子さんなどご家族がその家を管理したり、相続したりする際に、思わぬ負担やリスクとなる可能性があります。終活の段階で確認・対策することで、これらのリスクを減らすことができます。
- もしもの時に家族が慌てないため: 地震や火事などの緊急事態や、空き家になった際の防犯など、あらかじめ家族で話し合い、対策しておくことで、実際に問題が起きた際に落ち着いて対応しやすくなります。
このように、実家の安全対策は、親御さんの現在の安心だけでなく、将来のご家族の負担軽減にもつながる大切な準備です。
終活として確認したい実家の具体的な安全対策
終活の視点から、実家で確認・検討しておきたい具体的な安全対策には、主に以下のようなものがあります。
地震対策
地震はいつどこで起こるか予測が難しく、日本においては特に重要な対策です。
- 家具の固定: 大きな家具が倒れてこないよう、壁や柱に固定する器具を取り付けます。ホームセンターなどで手軽に購入できるものが多くあります。親御さんご自身での作業が難しい場合は、ご家族が手伝ったり、専門業者に依頼したりすることも検討できます。
- 落下物の防止: 高い場所に置いてある重いものや割れやすいものを安全な場所に移動させたり、棚に滑り止めシートを敷いたりします。窓ガラスには飛散防止フィルムを貼ることも有効です。
- 古い建物の耐震性の確認: 1981年(昭和56年)より前に建てられた建物は、現在の耐震基準を満たしていない可能性があります。お住まいの自治体によっては、無料または低額で耐震診断を受けられる制度があります。まずは診断を受けて、必要に応じて耐震改修を検討するきっかけにしても良いでしょう。専門家(建築士など)に相談することも大切です。
- 非常持ち出し袋の準備と確認: 食料品、飲料水、常備薬、貴重品などをまとめた非常持ち出し袋を用意し、すぐに持ち出せる場所に保管します。中身の使用期限などを定期的に確認することも忘れないようにします。
- 避難場所・避難経路の確認: 万が一の際に、どこへ避難するか、どのように避難するかを家族で確認しておきます。親御さんの体力や移動手段なども考慮して話し合うことが重要です。
火事対策
高齢者のいる家庭では、火の消し忘れや暖房器具の誤った使用などによる火災リスクも考慮が必要です。
- 火元になるもののチェック: ガスコンロの周囲に燃えやすいものを置かない、石油ストーブの近くで洗濯物を干さない、古い電気コードやタコ足配線を見直すなど、日頃から火元になりうる場所を確認します。
- 住宅用火災警報器の設置・点検: 寝室や台所などに設置されているか確認し、定期的に作動確認や掃除を行います。電池切れがないかもチェックしましょう。
- 消火器の設置: もしもの初期消火のために、分かりやすい場所に消火器を設置しておくことも考えられます。設置場所を家族で共有しておきます。
- 避難経路の確保: 玄関や窓など、万が一の際にスムーズに外へ逃げられるよう、通り道に物を置かないようにします。
防犯対策
空き巣や悪質な訪問販売など、高齢者を狙った犯罪も残念ながら存在します。
- 鍵や窓の確認・補強: 玄関や窓の鍵がしっかりと閉まるか確認します。補助錠を取り付けたり、防犯ガラスや防犯フィルムを検討したりすることも有効です。
- 庭の手入れ: 庭木が茂りすぎていると死角が増え、侵入しやすくなることがあります。定期的な手入れで死角を減らすことも防犯につながります。
- 訪問者への対応: 知らない人が訪ねてきても安易にドアを開けない、インターホン越しに応対するなど、防犯意識を持つことが大切です。
- (必要に応じて)防犯設備の検討: 人感センサー付きライトや防犯カメラの設置なども、抑止力として効果が期待できます。
家族で話し合うこと、協力すること
これらの安全対策について、まずは親御さんと率直に話し合ってみることが第一歩です。いきなり全てを完璧にしようとせず、「何か心配なことはないかな」「最近、地震が多いけど、家の棚は大丈夫かな」など、日頃の会話の中で自然に触れてみるのが良いかもしれません。
親御さんの意向を確認しながら、どこから着手するか、優先順位を決めましょう。費用がかかる対策については、どのくらいの予算をかけるか、誰が負担するかなども話し合う必要があります。
また、防災や防犯に関する専門家や、家のリフォーム会社、自治体の相談窓口なども情報を提供しています。必要に応じて専門家の意見を聞くことも、適切な対策を進める上で役立つでしょう。
まとめ:安心は終活の大切な要素
実家の安全対策は、すぐに結果が見えるものではないかもしれません。しかし、親御さんが安心して日々の暮らしを送れること、そしてご家族が将来の心配を減らせることは、終活において非常に大切な要素です。
一度に全てを解決しようと気負わず、できることから少しずつ、家族で協力して進めてみてはいかがでしょうか。こうした準備を進める過程で、親御さんやご家族とのコミュニケーションが深まることも、終活の大きなメリットの一つと言えます。
当サイトでは、終活に関する様々な情報を提供しています。他の記事も参考にしながら、ご自身のペースで準備を進めてください。何かご不明な点があれば、専門家への相談も検討してみてください。