親の終活、どこに相談?身近な公的窓口(地域包括支援センター)の活用法
親御さんの終活について考え始めたものの、誰に、どこに相談すれば良いのか分からず、漠然とした不安を感じている方もいらっしゃるかもしれません。終活は、健康や医療、介護、お金のこと、持ち物の整理など、様々な分野に関わるため、「これだけをやれば良い」という決まった形はありません。
そのため、「どこに相談すれば良いのだろうか」と迷うのは自然なことです。終活は、一人で抱え込む必要はありません。様々な相談窓口があります。
今回は、数ある相談先の中から、私たちにとって身近な公的機関である「地域包括支援センター」についてご紹介します。地域包括支援センターがどのような場所で、親御さんの終活についてどのようなサポートが期待できるのかを知っていただくことで、相談への第一歩を踏み出すきっかけとなれば幸いです。
地域包括支援センターとはどのような場所ですか
地域包括支援センターは、高齢者のみなさんが住み慣れた地域で安心して暮らせるよう、様々な方面から支えるための地域の拠点です。市区町村が設置主体となり、多くの場合、地域ごとに担当するセンターが決められています。
ここには、保健師、社会福祉士、主任ケアマネジャーなどの専門職が配置されており、高齢者やそのご家族からの様々な相談に無料で応じています。
地域包括支援センターで相談できる終活関連のこと
地域包括支援センターは、特定の相談に限定されることなく、高齢者の生活に関わる幅広い内容に対応しています。終活という活動は、これからの人生をより良く生きるための準備であり、現在の生活と密接に関わっています。そのため、終活の様々な側面について、地域包括支援センターで相談を始めることができます。
具体的には、次のようなことについて相談が可能です。
- 介護や医療に関する情報の収集
- 親御さんの健康状態に合わせた介護サービスについて知りたい
- どのような医療機関があるか、かかりつけ医について相談したい
- 介護保険制度について基本的なことを知りたい
- 地域の高齢者向けサービスや活動に関する情報
- 地域で行われている健康教室や趣味の活動に参加したい
- 安否確認や見守りなど、地域で行われているサービスについて知りたい
- 財産管理や権利擁護に関する一般的な情報提供
- 成年後見制度など、将来の財産管理について漠然とした不安がある
- 消費者被害にあわないための注意点を知りたい
- 専門的な相談が必要な場合に、どのような専門家(弁護士、司法書士、行政書士など)がいるか、一般的な情報を知りたい
- その他、生活全般の困りごと
- 近所付き合いや家族関係で悩みがある
- どこに相談すれば良いか分からない困りごとがある
これらの相談を通じて、親御さんの現在の状況や将来の希望を整理したり、必要な情報にアクセスしたりする手助けを得ることができます。終活は多岐にわたるため、地域包括支援センターの専門職は、相談内容に応じて、必要であれば他の専門機関や行政サービスへの橋渡し役も担ってくれます。
地域包括支援センターに相談するメリット
地域包括支援センターを終活の相談先の一つとして考えることには、いくつかのメリットがあります。
- 身近で相談しやすい
- お住まいの地域に設置されているため、比較的アクセスしやすい場所にあります。
- 電話や窓口での相談が可能です。
- 無料で相談できる
- 相談にかかる費用は原則として無料です。何度か相談を重ねることも可能です。
- 専門職が対応してくれる
- 保健師、社会福祉士、主任ケアマネジャーといった、高齢者の支援に関する専門知識を持った職員が相談に乗ってくれます。
- 幅広い相談に対応
- 介護、医療、健康、福祉、権利擁護など、高齢者の生活に関わる様々な相談に対応しています。終活の様々な疑問をまとめて相談できる可能性があります。
- 相談内容が専門外であっても、適切な専門機関や窓口を紹介してくれます。
これらのメリットから、地域包括支援センターは、終活について「何から話せば良いか分からない」「まずは誰かに話を聞いてほしい」という場合の最初の相談窓口として適しています。
地域包括支援センターへの相談方法
地域包括支援センターに相談するには、まずはお住まいの市区町村のウェブサイトで、担当の地域包括支援センターの連絡先を確認することから始めます。電話で問い合わせて、相談したい内容を伝え、窓口での相談を希望する場合は予約が必要か確認するとスムーズです。
相談に出向く際は、特に必要な持ち物はありませんが、親御さんの状況や相談したいことなどを簡単にメモしていくと、話を整理しやすくなります。
まとめ
親御さんの終活は、ご家族にとっても初めての経験であることが多く、どのように進めれば良いか、誰に相談すれば良いか、といった疑問や不安がつきものです。
今回ご紹介した地域包括支援センターは、高齢者やそのご家族の様々な困りごとを無料で相談できる、身近な公的窓口です。介護や医療のことから、地域のサービス、財産管理の入り口まで、幅広い相談に乗ってもらえます。
終活の全てを地域包括支援センターだけで完結できるわけではありませんが、「まずはどこかに相談してみたい」「身近な専門家に話を聞いてほしい」という場合には、非常に有効な窓口となります。
終活を円滑に進めるためには、一人で抱え込まず、利用できる専門家や相談窓口を上手に活用することが大切です。地域包括支援センターは、その第一歩を踏み出すための、心強い味方となってくれるでしょう。