親の終活にかかる費用、家族で知っておきたいこと
親御様の終活について考え始めたとき、気になることの一つに「費用」があるかもしれません。終活には、様々な準備に伴って費用が発生することがあります。漠然と「お金がかかるのだろうか」と不安に感じている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
終活にかかる費用について事前に知り、準備を進めることは、安心して終活を進める上で大切なステップです。ここでは、終活に伴って考えられる主な費用や、家族で知っておきたい準備のポイントについてご説明します。
終活で考えられる主な費用の種類
終活の内容は人それぞれですが、一般的に以下のようなことに関連して費用が発生する可能性があります。
1. 生前整理・実家片付けの費用
身の回りの物を整理したり、実家を片付けたりする際に、不用品の処分や整理業者への依頼に費用がかかることがあります。自分で少しずつ進める場合は大きな費用はかかりませんが、大型家具の処分や、専門業者に依頼する場合は数万円から数十万円かかることもあります。
2. お墓や供養に関する費用
現在のお墓をどうするか、あるいはこれからお墓をどうするかは、終活の大きなテーマの一つです。
- 新しくお墓を建てる: 一般的なお墓の場合、墓石代や永代使用料などを含めて100万円〜300万円程度かかることが多いようです。
- 永代供養墓や樹木葬: お墓の管理を霊園や寺院に任せる永代供養墓や、樹木を墓標とする樹木葬など、新しい供養の形も増えています。これらは数十万円程度で利用できる場合もあります。
- 散骨: 海や山などに遺灰を撒く散骨も選択肢の一つです。業者に依頼する場合、数万円から数十万円かかることがあります。
- お墓の維持管理費: 年間数千円〜数万円程度の管理費がかかります。
どのような供養方法を選ぶかによって、費用は大きく異なります。
3. お葬式に関する費用
お葬式にかかる費用は、形式によって大きく変わります。
- 一般葬: 通夜、告別式を行う一般的な形式で、全国平均では100万円〜200万円程度と言われています。
- 家族葬: 親しい家族や親族のみで行う形式で、一般葬より費用を抑えられることが多いですが、内容によっては高くなることもあります。
- 一日葬: 通夜を行わず、告別式と火葬を一日で行う形式です。
- 直葬(火葬式): 儀式を行わず、火葬のみを行う形式で、費用を最も抑えられます(20万円〜50万円程度)。
お葬式の費用は、参列者の人数、会場、選ぶ祭壇や棺、料理、返礼品など、様々な要素で変動します。
4. 専門家への相談費用
遺言書の作成、相続、財産管理、税金対策など、終活に関連して弁護士、税理士、行政書士、ファイナンシャルプランナーなどの専門家に相談したり、手続きを依頼したりする場合に費用が発生します。相談料は無料の場合から、1時間数千円〜数万円かかる場合まで様々です。遺言書作成のサポートや相続手続きの代行を依頼すると、内容に応じて費用がかかります。
5. その他の費用
- エンディングノート: ノート自体の費用は数百円から数千円程度です。
- 任意後見制度: 将来判断能力が衰えた場合に備え、あらかじめ後見人を選んでおく任意後見制度を利用する場合、契約書の作成費用や後見人への報酬(任意後見監督人が選任された場合)などがかかります。
- 死後事務委任契約: ご自身の死後の手続き(役所への届け出、公共料金の清算、SNSアカウントの閉鎖など)を信頼できる第三者に委任する契約で、専門家に依頼する場合に費用がかかります。
終活の費用について家族で話し合う大切さ
終活にかかる費用は、誰が負担するのか、どのように準備するのかなど、家族で話し合っておくことが非常に重要です。
親御様ご自身に費用を用意する資産があるか、もし足りない場合は家族がどのようにサポートするかなど、早めに率直に話し合うことで、後々のトラブルを防ぐことができます。
費用に関する話し合いはデリケートな部分ですが、「もしもの時に困らないために」「安心して老後を過ごすために」という前向きな視点で臨むことが大切です。
費用の準備と賢い進め方
- 早めに情報収集を: どのようなことにどれくらいの費用がかかる可能性があるのか、大まかにでも知っておくことが第一歩です。
- 優先順位を決める: 終活で特に力を入れたいこと(例:お墓、お葬式)に優先的に費用をかける、というように優先順位を決めると、準備が進めやすくなります。
- 見積もりを取る: お墓やお葬式、片付け業者など、費用がかかるサービスについては、複数の業者から見積もりを取り、比較検討することが賢明です。
- 専門家に相談する: 財産に関することや法的な手続きについては、専門家の意見を聞くことで、より良い方法や思わぬ出費を防ぐヒントが得られることがあります。
- 利用できる制度を確認する: 健康保険の高額療養費制度や、介護保険サービスなど、利用できる公的な制度がないか確認することも重要です。
まとめ
終活には様々な費用がかかる可能性がありますが、その全てが必要なわけではありません。どのような終活をしたいか、何に重点を置きたいかによって、かかる費用は大きく変わってきます。
大切なのは、費用について現実的に把握し、ご本人と家族で話し合い、計画的に準備を進めることです。費用に関する情報収集を通じて、漠然とした不安が具体的な計画へと変わり、安心して終活に取り組む一助となれば幸いです。
どのような費用がかかるか、どう準備すれば良いかなど、疑問や不安があれば、家族で話し合うか、必要に応じて専門家や地域の相談窓口に問い合わせてみることも検討してください。