終活で必要になる身元保証とは?家族で話し合うべきこと
親の終活を考える中で、「身元保証」という言葉を耳にすることがあるかもしれません。これは、高齢者施設への入居や病院への入院の際に求められることがあるものです。
もしもの時に慌てないよう、身元保証について基本的なことを知っておき、家族で話し合っておくことは、安心につながる大切な終活の準備の一つと言えるでしょう。
身元保証とはどのようなものですか
身元保証とは、主に以下の2つの役割を果たすものです。
- 入院費や施設利用料などの支払い保証: 本人が費用を支払えなくなった場合に、代わりに支払う責任を負うこと。
- 緊急時の連絡や対応: 本人の容体が急変した場合などに、病院や施設からの連絡を受け、必要な手続きや引き取りを行うこと。
多くの場合、家族や親族が身元保証人となることを期待されます。これは、保証人が単なる連絡先ではなく、上記のような責任を負う立場であるためです。
なぜ終活で身元保証について考える必要があるのですか
高齢になると、病気や体の衰えによって病院に入院したり、介護が必要になって高齢者施設に入居したりする可能性が高まります。その際、多くの病院や施設で身元保証人を求められます。
しかし、身元保証は法的に定められた制度ではなく、その内容や責任の範囲は病院や施設によって異なります。また、一度身元保証人になると、責任を簡単に解除できないケースもあります。
親御さんの判断能力が低下したり、急に施設入居や入院が必要になったりした状況で、慌てて身元保証人を探したり、保証内容をよく確認せずに契約したりすることは、後々のトラブルにつながる可能性があります。
終活の一環として、元気なうちに身元保証の必要性や、誰がどのような形で引き受けるのかを家族で話し合い、準備しておくことが大切なのです。
家族が身元保証人になる場合の注意点
お子さんなどご家族が親御さんの身元保証人になることは自然な流れかもしれません。しかし、身元保証は責任を伴うため、安易に引き受けるのではなく、以下の点に注意が必要です。
- 保証内容と責任範囲の確認: 入院費・施設費の支払い保証の範囲、緊急時の対応義務など、契約書の内容をしっかりと確認してください。
- 費用の負担能力: もしもの場合に、本人の代わりに費用を支払えるだけの経済的な能力があるか検討が必要です。
- 遠方に住んでいる場合: 緊急時の駆けつけや、施設・病院からの連絡への対応がスムーズにできるか考慮が必要です。
分からない点があれば、契約する前に必ず施設や病院に質問し、納得した上で判断することが重要です。
身元保証人がいない場合の選択肢
もし、頼れる家族がいない場合や、家族に負担をかけたくないという場合は、身元保証サービスを利用するという方法があります。
- 身元保証サービス: NPO法人や一般社団法人、営利企業などが提供しているサービスです。費用はかかりますが、専門の団体が身元保証や緊急時の対応、場合によっては死後の手続きなども引き受けてくれます。サービス内容や料金体系は様々なので、複数の事業者を比較検討することが大切です。
- 成年後見制度: 本人の判断能力が低下した場合に利用できる制度です。財産管理や契約の代理などを行いますが、身元保証そのものを目的とした制度ではないため、施設によっては後見人だけでは身元保証として認められないケースもあります。
これらの選択肢についても、終活の話し合いの中で情報共有しておくと良いでしょう。
家族で話し合うべきポイント
身元保証について家族で話し合う際には、以下のポイントを中心に話しを進めてみましょう。
- 身元保証の必要性について: 今後、施設入居や入院の可能性はあるか、その際に身元保証が必要になることを理解する。
- 誰が身元保証人になれるか、引き受けられるか: お子さんの中で、誰が引き受けるのが現実的か、あるいは引き受けることが可能か。
- 身元保証の内容と責任について理解する: 責任の重さを共有し、納得できるか確認する。
- 身元保証サービスを利用するか検討する: 家族に負担をかけたくない場合や、適切な保証人が見つからない場合の選択肢として話し合う。費用についても確認する。
- 保証に関する情報を共有する: 最終的に誰がどのように保証するかを決めたら、その情報をエンディングノートや家族間での情報共有ツールなどで記録し、他の家族にも共有しておく。
身元保証は、親御さん自身の安心だけでなく、もしもの時に慌てずに済むよう、残された家族のための準備でもあります。難しく考えすぎず、「こんな話もあるんだね」という軽い気持ちで情報共有から始めてみるのも良いかもしれません。
身元保証サービスなど、より専門的な情報が必要な場合は、終活に関する相談窓口や、サービスを提供している事業者に問い合わせてみることも有効な手段です。一人で抱え込まず、利用できるサポートを活用しながら、終活を進めていくことをお勧めします。